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コラム~第三者のためにする契約の応用例~

司法書士コラム201798

今日は、第三者のためにする契約の応用例について記事を書きました。いわゆる「中間省略登記」というものです。

例えば、AからBへ不動産を売却し、BからCへ転売する場合、通常、AからBへ所有権移転登記、そして、BからCへ所有権移転登記を行いますが、この場合、Bには登録免許税と不動産取得税が課税されます。

そこで、中間者であるBを省略して、Aから直接Cへ所有権移転登記を行うことがあります。そうすることによって、Bは登録免許税や不動産取得税が課税されずに済むわけです。

しかし、この中間者を省略する登記というものは、法務局において認められているわけではありません。ただ、不動産の流通コストをできるだけかけたくないという、実務上の要請もあり、手法次第で、実質的に中間省略登記を行うことができます。

その手法としては、「第三者のためにする契約」と「買主の地位譲渡契約」の2つがあります。

まず、第三者のためにする契約ですが、これは、中間者のBが第三者であるCのためにする契約をいい、所有権をAからBではなく、Bの指定する第三者Cのために移転する形となります。このとき、Cは受益の意思表示という所有権という権利を受けるための請求を、A又はAから代理権限を与えられたBに対して行います。これは、実務上、よく利用されています。

もう一つの買主の地位譲渡契約ですが、これは、Aから不動産を買い受けたBが、その買主の地位をCに譲渡するという契約です。この契約も、個人のときに契約を締結し、法人成りした後に決済を行う場合に利用されることもありますが、実務上は、あまり見受けられません。というのも、Bが買主の地位を譲渡するので、AとBとの間の契約書をCに交付する結果、BとCとの間の契約代金との差額がCに知られてしまうというここまた、土地の売買であっても、譲渡対象が土地そのものではないため、消費税が課税されてしまうおそれがあるからです。

従って、実務上、第三者のためにする契約が、一般的に用いられます。

さて、ここからが本題となります。第三者のためにする契約によって節税できる不動産取得税や登録免許税ですが、不動産の固定資産税評価額が大きければ大きいほど、中間者にとっては、メリットが大きいといえます。そこで、マンションデベロッパーがマンション用地を取得する際に応用できないか?ということを考察してみました。この場合、不動産取得税は還付対象となるので、登録免許税の節税についての検討になります。

通常、マンションデベロッパーは高額な土地を原土地所有者から仕入れ(取得)して、所有権移転登記の際に、登録免許税を納付します。そして、マンション完成後に、建物と土地を敷地権化(一体化)した上で、エンドユーザーへ売却します。ここで、原土地所有者からエンドユーザーへ直接、土地の持分を移転登記できれば、デベロッパーは登録免許税を節税できることになります。

しかしながら、これは難しいです。というのも、マンションは、区分建物の表題登記を行う時点で、通常、敷地権化の登記(土地との一体化)も一緒に行うため、建物はマンションデベロッパー名義、敷地はエンドユーザー名義となると、建物と土地の登記名義人が異なるため、敷地権化できないのです。

そこで、発想を変えてみます。まず、敷地権化の登記を敢えて行わず、マンションの区分建物の表題登記だけを行い、その後、エンドユーザーへ所有権保存登記、そして、第三者(エンドユーザー)のためにする契約により土地の持分移転登記を行った後、敷地権化の登記を行えば、実現できます。

しかし、ここでまた実務上の問題が生じます。現金でマンションを購入される人でしたら、上記の手法も可能ですが、ローンを組まれて購入される人の場合、所有権保存、所有権移転、抵当権設定の登記後、敷地権化の登記を行うとしますと、この抵当権設定が、敷地権化を行う際、分離処分の禁止(区分所有法第22条)に反してしまうのではないか?という問題が生じます。

では、逆に、所有権保存、所有権移転、敷地権化の登記後に抵当権設定登記を行ってはどうか?という話になりますが、敷地権化の登記は、権利の登記ではなく、表示の登記であるため、このような連件申請はできず、敷地権化の登記が完了してからでないと、抵当権設定登記ができないとなっては、金融機関にとってみれば、保存、移転登記を行う引渡日でもある融資実行日に、抵当権設定登記ができないという弊害が生じてしまいます。

しかしながら、敷地権化の登記は、建物表題登記とは異なり、実質的な審査(現場審査)まで行わなくても、形式的な審査(書面審査)で済む登記とも考えられます。つまり、連件申請が可能となり、保存、移転、敷地権化、抵当権設定の登記を同日中に行うことができ、金融機関も融資実行日に抵当権設定登記による保全が図れ、結果として、マンションデベロッパーの登録免許税の節税が実現できることになります。

と、考察しましたが、通常の手法とは異なり、持分移転登記と敷地権化の登記費用(手数料)が別途生じることと、金融機関やエンドユーザーの理解も必要になろうかと思います。

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