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コラム~社会福祉法人との不動産取引~

司法書士コラム201798

社会福祉法人が、その事業の用に供する土地や建物を取得する場合、所有権移転登記や所有権保存登記に必要な登録免許税が免除されます。この場合、登記の申請に際しては、

「登録免許税法別表第3の10の項の第3欄の第1号に掲げる登記に係る証明書」

という非課税となる証明書を所轄官庁より交付を受けて、添付する必要があります。

所轄官庁より証明書の交付を受けるためには、取得する土地や建物の公図や登記事項証明書、案内図や位置図、取得について承認した理事会議事録、整備計画の概要、事業計画書、売買契約書、補助金や借入れがある場合はその決定通知書などの書類が必要になろうかと思います。事前に所轄官庁へ確認するのがベターです。

また、この証明書は、登録免許税だけではなく、登記申請から数ヶ月後に課税される不動産取得税の免除についても利用することができるため、登記申請の際には、必ず原本還付をして保存しておく必要があります。

更にもう一つ。社会福祉法人の理事長が、この社会福祉法人に対して、土地を売却するような場合です。知識のある人でしたらご存じかと思いますが、このような取引は、いわゆる「利益相反取引」といいます。

利益相反取引とは、理事長と社会福祉法人との間で、売買代金を「なあなあ」に取り決めしないよう、それをチェックする機関がその取引を承認しなければなりません。そうしないと、理事長の決定で、土地の売買代金を不当に高くした結果、理事長個人にとっては利益となりますが、社会福祉法人にとって不利益となってしまうおそれがあるからです。

さて、社会福祉法は、平成28年3月31日に一部改正され、平成29年4月1日に改正法が施行されました。

改正法が施行される前の利益相反取引では、所轄官庁に対して、特別代理人の選任を申立て、この代理人が取引を行うか、もしくは、社会福祉法人の定款に「理事長個人と利益相反する行為となる事項及び双方代理となる事項については、理事会において選任する他の理事が理事長の職務を代理する。」などと規定されていれば、理事会が選任した他の理事が社会福祉法人を代理して、理事長が契約を行う取り扱いでした。

しかし、改正法では、社会福祉法第45条の16第4項において、「一般社団法人及び一般財産法人に関する法律第84条第2項」の利益相反取引についての承認規定を準用することになったため、簡単に言ってしまえば、理事会において承認を得ればよいことになります。株式会社のような取り扱いによく似ています。

さて、ここで問題となるのは、社会福祉法人の登記では、役員に関する事項に、理事長のみしか現在は登記されません。(一般社団法人では理事長以外の理事、株式会社では代表取締役以外の取締役も登記されますが)。この結果、理事会において承認をした理事が、その理事会議事録に署名と実印を押印しても、その理事が、真実の理事であるかどうか確認すべき手段が登記上ないのです。

ここで、所轄官庁より、現在の理事名簿兼証明書などといった書類が交付されれば、それを法務局へ不動産登記の申請の際に添付すればよいのでしょうが、交付を受けられない場合(名簿を提出したが、次年度までに理事の変更があったような場合)、(初年度であれば)理事の氏名が記入されている原始定款や、理事を選任した評議員会議事録などの書類しか、理事を証明する手段にならないのではないかと考えられます。こちらについても、先例がないため、事前に法務局へ確認するべきです。

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