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コラム~遺言書を作成する場合、自筆で作成するか、公証人役場で作成するか、どちらにすべきでしょうか?~

司法書士コラム2017725

遺言書を作成する場合、自筆で作成するか、公証人役場で作成するか、どちらにすべきでしょうか?

※(結論)公証人役場で作成した方がよいと言えます。むしろ、そうすべきです。

まず、自筆で作成する遺言書を自筆証書遺言といいます。(民法第968条。以下、条文だけの記載とします。)そして、公証人役場で作成する遺言書を公正証書遺言といいます。(969条)

自筆証書遺言の場合、自分自身で作成するため、費用は発生致しませんが、法律で求められている要件に不備がありますと、遺言は無効となります。(例えば、押印がなかった、訂正印がなかったなど。)それに加え、ある程度法律知識を身に付けていないと、遺言の内容を実現(銀行口座や不動産の名義変更など)することができなくなるおそれがあります。

これまで、私が拝見した遺言の中には、不動産を特定するための情報(所在や地番など)が含まれておらず、「本家の土地や分家の土地」などといった、第三者から見たら曖昧なものもありました。また、「相続させる。」と記載すべきところ、「渡す。」といった記載をした結果、法律的には「相続」ではなく「遺贈」という扱いを受け、手続が煩雑になったものや、遺言の内容を実現させるための遺言執行者を選任していなかったものもありました。

いわゆる身内以外の第三者に財産を相続させる場合、遺言の内容を実現させるには、財産を相続させない身内からの実印の押印や印鑑証明書の徴求などが必要になり、実現が困難となります。

自筆証書遺言のデメリットばかり申し上げておりますが、更に言うと、自筆証書遺言では、遺言者の死亡後、その遺言を家庭裁判所で検認(1004条)してもらわなければなりません。検認それ自体、遺言の内容を法的に有効とすべきものではございませんが、これを経ないと、銀行口座や不動産の名義変更などを行うことができないのです。(検認したことが遺言書に合綴されます。)

ところで、検認は、家庭裁判所の中にある部屋で、相続人一同のもと、遺言書を読み上げます。相続人の仲が良ければ特段問題はないものの、仲が良くない場合、特定の相続人に財産を全てあげるといったことで、面白くないと感じる相続人に火に油を注ぐようなことにもなりかねません。また、仲が良かったとしても、不公平感を感じてしまい、今後の仲が悪くなるということにもなりかねないのです。

以上のことから、私は、自筆証書遺言よりも公正証書遺言をお勧めしております。

公正証書遺言では、元検察官や裁判官を退官された方などが、作成の上でアドバイスしてくださいますし、先ほどの検認を行う必要がないことや、公証人役場で原本が保管されますので、紛失のリスクもありません。作成手数料(公証人の方へお支払いする手数料)も遺産の額などにもよりますが、私の感覚では、50,000円程度です。(思っているよりも高くはありません。)

とはいえ、遺言も完璧な財産承継の手法ではありません。それは、遺留分(1082条)という制度が、日本の法律にはあるからです。これは簡単に言いますと、仮に、遺言で財産をもらえなかったとしても、そのもらえなかった人が、遺留分という権利を主張することで、2分の1なり3分の1を、遺言でもらった人に対して請求できてしまうのです。

よって、確実に財産を承継する手法としては、遺言を作成して対応するよりも、生前に贈与すべきといえます。もちろん、生前贈与においても、死亡前1年間に行ったものは、遺留分の対象になりますし、また、遺留分のある者に損害を加えることを知って行った場合は、1年前の日より前にしたものも対象になります。(1030条)とはいえ、遺言よりも確実性はあります。(遺言においても、遺留分の請求順序を定めておくことはできますが(1034条但書)。)

従って、財産の承継のリスクを考えますと、

(リスク高) 何も対策をしない < 自筆証書遺言 < 公正証書遺言 < 生前贈与 (リスク低)

という順になるかと思います。

生前贈与も一般的に、費用や税金が高くつくのでは?と、心配されている方も多くいるかと思いますが、相続時精算課税制度など色々な特例があります。そのメリットやデメリットなども含めまして、総合的に判断した上、あまりコストをかけずに、安全に財産承継を行う提案ができるかと思います。

早く贈与し過ぎてしまい、浪費されてしまうのではないか? 家を追い出されてしまうのではないか?という不安のある方には、信託という提案もできます。

なお、遺言も生前贈与も信託も、基本的に認知症になる前にしかできませんので、早めの対策が必要です。厚生労働省の「新オレンジプラン」によりますと、認知症高齢者は、平成24年に262万人(約7人に1人)のところ、平成37年には約700万人(約5人に1人)になると予測しています。

一人で悩まず、またネット上の情報に振り回されず、お気軽にご相談ください。

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